呼吸

呼吸機能が失調するメカニズムと身体への影響

身体の慢性的な不快症状を抱える方の多くに、呼吸パターンの乱れが確認される症例は非常に一般的である。

具体的には、呼吸頻度の増加や非運動時における口呼吸の常態化といった機能不全を呈しているケースが大半を占める。

呼吸過多

呼吸回数の増加に伴い、主に吸気動作を高める目的で肋間筋および呼吸補助筋の活動が著しく亢進する。

この強度の強い吸気運動は過度な胸部伸展を引き起こし、胸式呼吸を主導的なパターンへと変化させる(なお、正常な安静時呼吸においては腹部優勢の運動パターンが維持される)。

こうした胸部伸展状態が慢性化すると、本来の呼吸主動作筋である横隔膜が適切な解剖学的ポジションで機能できなくなり、疲労の蓄積や収縮力の低下を招く。その結果、呼吸補助筋への依存が常態化して姿勢筋緊張を高め、肩こりや腰痛の発生、ならびに脊椎に対する圧迫ストレスの増大といった二次的な機能障害を引き起こす。

また、生化学的観点(体内環境)においては、血中に十分な酸素が存在していても二酸化炭素濃度が不足している場合、末梢組織にてヘモグロビンからの酸素解離が妨げられ、結果として細胞レベルでの酸素不足が起きる。

さらに、酸素濃度の上昇は血管収縮を誘発して局所血流量の低下を招き、脳組織への酸素供給量をも減少させる原因となる。

口呼吸が常態化すると

口呼吸の常態化は、換気頻度の亢進に伴うアライメントの不全や、睡眠時のイビキ・睡眠時無呼吸症候群の発症頻度を高めるのみならず、頭蓋顔面部における正常な解剖学的骨格形成を抑制する重大な要因となる。

小児期における口呼吸の定着は、顎顔面領域および歯列の発育異常を引き起こす傾向が著しい。

さらに、鼻呼吸がもたらす生理学的な利点が著しく損なわれる。

鼻呼吸下においては、口呼吸と比較して肺全体への血流が最適化され、とりわけ肺尖部における血流量が約24%増加することが確認されている。

病原体が停滞しやすい解剖学的領域である肺尖部への十分な通気が維持されない場合、肺炎を発症する危険性が増大する。

加えて、上気道粘膜による免疫学的な濾過機構や、鼻腔内で生成される一酸化窒素の吸入に伴う末梢血管拡張作用などの反応も享受できなくなる。

まとめ

呼吸回数増加や口呼吸に代表される呼吸機能失調の発生メカニズムと身体への多角的な影響を考察したものである。呼吸回数の増加や過度な吸気は胸式呼吸を優位にし、横隔膜の機能低下とともに肩こり・腰痛をはじめとする姿勢筋肉の緊張や脊椎ストレスを引き起こす。また生化学的には、過換気等に伴う二酸化炭素濃度の減少が末梢組織や脳への酸素供給を阻害する。さらに口呼吸の常態化は顎顔面骨格の発育不良を招くだけでなく、肺尖部血流の低下や一酸化窒素吸入効果の消失など、鼻呼吸が持つ免疫学的・生理学的な防衛機能を著しく損なう原因となる。

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