交通事故

藤岡警察署・高崎警察署への交通事故届出の流れと注意点

けたたましく鳴り響くサイレンの音。赤色灯の光が近づいてくる。交通事故の現場で、警察官の到着を待つ時間は、永遠のように長く、そして重く感じられるものです。

藤岡市や高崎市で、もしあなたが交通事故の当事者になってしまったら。被害者であれ、加害者であれ、この後必ず向き合わなければならないのが、**警察による「事故の届出」と「捜査」**という、極めて公式な手続きです。

「警察には、何をどこまで話せばいいのだろう?」 「何か少しでも間違ったことを言ったら、不利になるんじゃないか…」 「実況見分って、一体何をするの?時間はどれくらいかかる?」 「後日、警察署に呼び出されたりするの?」

制服姿の警察官を前にすると、たとえ自分が被害者であっても、なぜか緊張し、不安な気持ちになってしまうのは、ごく自然なことです。しかし、この警察への対応プロセスを正しく理解し、冷静かつ誠実に対応できるかどうかは、その後の示談交渉や、あなたが受け取るべき正当な補償に、計り知れないほど大きな影響を及ぼします。

この記事は、藤岡市(藤岡警察署管内)および高崎市(高崎警察署・高崎北警察署管内)で交通事故に遭われたあなたが、警察対応という最初の大きな関門を、不安なく、そして間違いなく乗り越えるための、専門家による完全ナビゲーションマニュアルです。

110番通報の瞬間から、現場での「実況見分」、そして警察署での手続きに至るまで、その全ての流れと、絶対に知っておくべき注意点を、時系列に沿って、どこよりも詳しく解説していきます。この記事を読めば、あなたは警察対応への漠然とした恐怖から解放され、ご自身の権利を守るために、自信を持って、そして毅然と振る舞うことができるようになるでしょう。

大前提:なぜ警察への届出が「絶対」なのか?

具体的な流れに入る前に、なぜこれほどまでに警察への届出が重要なのか、その根本的な理由を3つの側面から再確認しておきましょう。この大前提を理解することが、すべての行動の土台となります。

1. 法律で定められた運転者の「義務」

道路交通法第72条第1項では、交通事故を起こした車両の運転者に対し、直ちに運転を停止し、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなどの必要な措置を講じるとともに、警察官に事故の発生を報告する義務を課しています。

これは、事故の大小、ケガの有無、過失の有無に関わらず、すべての当事者に課せられた絶対的な義務です。この報告を怠った場合、**「報告義務違反」**として3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。つまり、警察に連絡することは、市民としての最低限の責任なのです。

2. すべての権利を主張するための「鍵」

警察への届出がなければ、あなたの権利は、その扉が開かれることすらありません。警察に届け出ることで、後日、**「交通事故証明書」**という公的な書類が発行されます。この証明書は、あなたが交通事故の当事者であることを公的に証明する唯一無二の書類です。

この「鍵」がなければ、

  • 加害者側の保険会社に対する、治療費や慰謝料の請求
  • 自動車の修理代の請求
  • ご自身が加入している保険(人身傷害保険など)の利用
  • 勤務中・通勤中の事故における労災保険の申請

といった、金銭的な補償に関するすべての扉を開けることができなくなります。 警察への届出は、あなた自身の財産と権利を守るための、最も基本的な手続きなのです。

3. 客観的な「事実」を確定させる公的プロセス

交通事故の解決において、最も重要なのは「客観的な事実」です。当事者の記憶は曖昧で、主張は主観的になりがちです。警察による捜査、特に現場で行われる**「実況見分」は、事故の状況を第三者の視点から客観的に記録し、「実況見分調書」**という公的な文書にまとめるための、極めて重要なプロセスです。

この調書は、後の示談交渉で保険会社が過失割合を判断する際の、最も信頼性の高い基礎資料となります。もし警察の捜査がなければ、当事者同士の「言った・言わない」という泥沼の争いに発展し、解決が著しく困難になることは間違いありません。

【ステップ1】110番通報から警察官到着まで

落ち着いて、正確に伝える「通報の作法」

事故が発生したら、安全を確保した後、すぐに110番に通報します。パニック状態にあると早口になりがちですが、通信指令室のオペレーターからの質問に、一つ一つ落ち着いて答えることを心がけてください。

【通報時スクリプト例】 オペレーター:「はい、110番です。事件ですか?事故ですか?」 あなた:「事故です。」

オペレーター:「場所はどこですか?」 あなた:「(高崎市の場合)高崎市筑縄町の、環状線と国道17号が交わる交差点です」「(藤岡市の場合)藤岡市中栗須の、県道13号線沿いにあるコンビニの前です」 (※市町村名から、具体的な交差点名、道路名、目印となる建物などを伝えます)

オペレーター:「ケガ人はいますか?」 あなた:「はい、バイクの人が倒れて動きません」「いいえ、見たところ大きなケガはなさそうです」 (※救急車が必要かどうかの判断材料になるため、分かる範囲で正確に伝えます)

オペレーター:「どのような事故ですか?」 あなた:「乗用車同士の追突事故です。」

オペレーター:「あなたのお名前と電話番号を教えてください。」 あなた:「〇〇です。電話番号はXXX-XXXX-XXXXです。」

通報が終わっても、警察官が現場の状況を把握するために、電話を切らずに指示を待つよう言われることがあります。その場合は、指示に従ってください。

警察官が来るまでに「準備」しておくこと

警察官が到着するまでの数分~数十分は、ただ待つだけの時間ではありません。この後の実況見分をスムーズに進めるための、重要な準備時間です。

  • 証拠の保全: スマートフォンで、現場の状況や車両の損傷箇所などを、あらゆる角度から撮影しておきましょう。
  • 情報の整理: 相手方の免許証や車検証、保険証券の情報を再度確認し、メモにまとめておきます。
  • 記憶の整理: 事故の直前、自分はどこを、どのくらいの速度で走っていて、信号の色はどうだったか。相手の車がどこから現れたか。事故の瞬間の記憶を、頭の中で冷静に整理しておきましょう。

【ステップ2】現場での最重要プロセス「実況見分」のすべて

警察官が到着すると、いよいよ事故対応のハイライトである**「実況見分(じっきょうけんぶん)」**が始まります。これは、テレビドラマで見るような、単なる現場検証とは少し異なります。あなたの立ち会いのもと、事故の状況を再現し、記録していく、極めて重要な捜査活動です。

「実況見分」とは何か?その目的と重要性

実況見分とは、警察官が、事故の当事者や目撃者の指示説明に基づき、事故現場の状況、車両の損傷状態、路面の痕跡などを詳しく調査・測定・記録し、その結果を**「実況見分調書」**という公式な書類にまとめるための一連の活動を指します。

この調書は、検察官が加害者の起訴・不起訴を判断したり、裁判官が判決を下したりする際の、最も基本的な証拠資料となります。そして、民事上の示談交渉においても、保険会社が過失割合を判断する上で、絶大な影響力を持つ文書となります。 つまり、実況見分への対応の仕方が、あなたの過失割合を左右すると言っても過言ではないのです。

実況見分の具体的な流れ

通常、実況見分は以下のような流れで進められます。所要時間は、簡単な事故であれば30分~1時間、複雑な事故であれば数時間に及ぶこともあります。

  1. 当事者の確定とアルコールチェック: まず、警察官は双方の運転免許証を確認し、運転者を確定させます。その後、飲酒運転の有無を確認するため、呼気検査(アルコールチェック)が行われます。
  2. 事情聴取(現場での聞き取り): 警察官は、当事者それぞれに、事故発生時の状況について詳しく質問します。
    • どこから来て、どこへ向かう途中だったか?
    • 事故直前の速度はどのくらいだったか?
    • 相手の車にいつ気づいたか?
    • 危険を感じてブレーキやハンドル操作をしたか?
    • 信号の色は何色だったか?
  3. 指示説明(指さしによる状況再現): 「あなたが相手の車に気づいたのはどの地点ですか?」「ブレーキを踏み始めたのはどこですか?」「車が衝突したのは、このあたりで間違いないですか?」 警察官からの質問に従い、あなたは実際にその地点に立ち、指をさして説明するよう求められます。この指示説明は、写真撮影され、調書に添付されます。
  4. 現場の測量・記録: 警察官は、特殊なメジャーや機材を使い、ブレーキ痕の長さ、道路の幅、車両の停止位置、周辺の建物からの距離などを、ミリ単位で正確に計測していきます。
  5. 車両の確認と写真撮影: 事故車両の損傷箇所や程度を詳しく確認し、様々な角度から写真撮影を行います。

実況見分での注意点と心構え

この重要なプロセスにおいて、あなたが取るべき態度は以下の通りです。

  • 冷静に、客観的に、正直に話す: 興奮して相手を罵ったり、自分に有利になるように嘘をついたりするのは、百害あって一利なしです。警察官はプロですから、矛盾した証言はすぐに見抜きます。記憶している事実を、感情を交えずに、淡々と、そして正直に話してください。
  • 記憶が曖昧なことは「覚えていない」と正直に言う: 「たぶん〇〇だったと思います」といった、推測や憶測で話すのは避けるべきです。不確かな証言は、後になってあなたの主張全体の信憑性を損なう原因になります。覚えていないことは、「分かりません」「記憶が定かではありません」と正直に答えましょう。
  • 警察官の説明をよく聞く: 警察官が、あなたの指示説明を基に「つまり、あなたはここでブレーキを踏んで、ここで衝突した、ということでよろしいですね?」と、最終的な確認をすることがあります。この時、もし自分の認識と少しでも違う点があれば、決して遠慮せず、「すみません、少し違います。ブレーキを踏んだのは、もう少し手前です」というように、その場で訂正を求めてください。
  • 体の痛みを必ず伝える: たとえ軽微な痛みや違和感であっても、「首が少し痛いです」「腰が重い感じがします」と、必ず警察官に伝えてください。これにより、調書に「負傷の有無」に関する記載がなされ、後の人身事故への切り替えがスムーズになります。

【ステップ3】警察署での手続きと「供述調書」

現場での実況見分が終わると、それで全て完了、というわけではありません。後日、改めて警察署に出頭し、より詳細な事情聴取を受けるよう要請されることがあります。

「供述調書」とは何か?

警察署で行われる事情聴取では、あなたの証言内容を基に、警察官が**「供述調書(きょうじゅつちょうしょ)」**という書類を作成します。これは、実況見分調書が「現場の客観的な状況」を記録したものであるのに対し、あなたの「主観的な認識や記憶」を、文章として記録したものです。

この供述調書も、検察官や裁判官、保険会社が事故の全体像を把握するための、非常に重要な資料となります。

調書作成の流れと、人生を左右する「最後のチェック」

  1. 事情聴取: 警察署の一室で、担当の警察官から、事故の状況について再度、詳細な質問を受けます。
  2. 調書の作成: 警察官が、あなたの話を聞きながら、パソコンなどで調書を作成していきます。
  3. 読み聞かせと閲覧: 作成された調書を、警察官があなたに読み聞かせるか、あるいはあなた自身が黙読するよう促されます。
  4. 署名・捺印(指印): 内容に間違いがないことを確認した上で、調書の末尾に署名し、印鑑(なければ指印)を押します。

ここで、**人生を左右するほど重要なのが、ステップ3の「読み聞かせと閲覧」**です。 警察官が作成した文章が、あなたの話したニュアンスと完全に一致しているとは限りません。あなたの意図とは異なる、あなたにとって不利な表現が使われている可能性もゼロではありません。

調書の内容に少しでも違和感や間違いがあれば、絶対に署名・捺印をしてはいけません。 「すみません、この部分の表現は、私の言いたかったことと少し違います。このように修正していただけませんか?」 と、毅然とした態度で訂正を要求してください。あなたは、調書の内容に納得するまで、署名・捺印を拒否する権利を持っています。一度サインをしてしまえば、その内容を後から覆すことは、ほぼ不可能です。

藤岡警察署・高崎警察署の交通課の場所

これらの手続きは、各警察署の「交通課」が担当します。

  • 藤岡警察署 交通課: 〒375-0024 群馬県藤岡市藤岡1771番地4
  • 高崎警察署 交通課: 〒370-0805 群馬県高崎市台町4番地3
  • 高崎北警察署 交通課: 〒370-3521 群馬県高崎市棟高町1651番地1

まとめ:藤岡市・高崎市の皆様へ。警察対応は「解決」ではなく「始まり」

ここまで、藤岡警察署・高崎警察署への交通事故届出に関する、一連の流れと注意点を詳しく解説してきました。 警察への対応は、事故の当事者にとって、精神的に大きな負担となる、最初の関門です。しかし、その目的と流れを正しく理解し、誠実かつ冷静に対応すれば、決して恐れる必要はありません。

【警察対応の心得】

  • 正直であること: 嘘やごまかしは、必ず見抜かれます。
  • 冷静であること: 感情的な態度は、何も良い結果を生みません。
  • 毅然とすること: 自分の認識と違うことは、その場で明確に訂正を求める勇気を持つこと。
  • 痛みを伝えること: 些細な体の不調も見過ごさず、必ず警察官に申告すること。

そして、最も重要なことを、最後に覚えておいてください。 **警察の役割は、あくまで事故の「事実を記録し、捜査すること」であり、あなたのケガを治療したり、あなたの失った損害を補償したりすることではありません。警察対応が完了した時点は、事故の「解決」ではなく、あなたの「治療と回復への道のりの始まり」**に過ぎないのです。

警察への対応という大きな山を越えた後、あなたは、事故によって傷ついたご自身の体と、本格的に向き合っていくことになります。その時、あなたの最も身近なパートナーとなるのが、私たちのような交通事故治療の専門家です。

藤岡市、高崎市で交通事故に遭われ、警察への対応を終えて、次に何をすべきか、どこで治療を受けるべきかとお悩みなら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。私たちは、警察が作成した客観的な記録の意味を理解し、それを踏まえた上で、あなたの体の状態に合わせた最適な治療プランをご提案します。

警察が記録した「事故の事実」と、私たちが向き合う「あなたの体の真実」。その両方を尊重し、連携させることが、後遺症のない未来への、唯一の道筋なのです。

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